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ぶんがく

土偶を読む

土偶を読む
――130年間解かれなかった縄文神話の謎
竹倉史人 著
四六判上製 352頁
定価:1,870円(本体1,700円)
978-4-7949-7261-3 C0021 〔2021年4月〕

読了時間 7~8時間

 この本を手に取ったのは、「土偶を読むを読む」が発売されて、話題になっていたので、どんな本なのか見ていたら、「土偶を読む」という本の検証と批判を行った本であるというのだ。これは、おもしろい。しかし、図書館に週に4日も通い詰めているのに、今まで「土偶を読む」という本が発売されていたことすら知らなかった。なんとも情けない。「土偶を読むを読む」を読むためには、まず「土偶を読む」を読まないといけない。で、「土偶を読むを読む」を読むために、「土偶を読む」を読んでみた。

 書き出しから実に小気味よい。「ついに土偶の正体を解明しました。」いきなり読者の興味を引き付ける。130年以上にわたる土偶研究をしてきて、未だに謎だらけの土偶の正体を明らかにしたというのだ。土偶はその形から、妊婦をかたどったものであるとか、遮光器土偶のように、もしかして宇宙人?というものまである。何をモチーフにして何のために作ったのか解明できていない。それを解明したというのだ。

東京国立博物館デジタルギャラリーより

 筆者は、「はじめに」で、序章を飛ばして読んでもいいと言っているが、ぜひ、序章から読み進めたほうがよい。また、「おわりに」は、必ず読んでほしい。

 内容については触れないが、読み進めていて、ほとんどの土偶について納得のいく答えを出しているように思う。ちょっとこじ付けかなと思う部分もあるが、「土偶がは何であるか」という重要な答えは出していると思う。完全とは思わないが納得のいくものであると思う。「思う」の連発は、「土偶を読むを読む」を読んでいないからであり、ますます、「土偶を読むを読む」を読むのが楽しみになってきた。

 一気に読み進めたのは、筆者のアカデミックであるがおちゃめな表現のおかげである。いつも真っ先に様々なものを食べさせられている助手の池上の事や、亜鉛で精力が目に見えて向上したくだりなど、読者をにやっとさせてくれる。

 一つだけ読んでいて苦労したのは「脚注」である。参考文献だけでなく、けっこう様々な情報が脚注として付けられている。ぜひ、読んでもらいたい。しかし、私のような老眼が入った目では正直きつい。小さすぎるのだ。

内容がおもしろいだけに

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