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Retro Games Fire

Wizardryをプレイする最高のプラットフォームは?

断捨離のため、部屋を整理していたら、こんなものが出てきた。懐かしの「Wizardry1」である。はるか昔はApple IIcも持っていたので、英語版をプレイ後購入したものかもしれない。(Apple IIcの購入動機が、Ultimaをプレイすることだったので、ひょっとしたら、98版が初プレイかもしれないが)

この重厚なパッケージを見ていると、Wizardryをプレイしたいという思いがふつふつと湧いてきた。これは、抑えようがないものだ。また、同時期に、ゲーム好きの友人からLINEで、「Wizardry Collection」を手に入れたという、抑えようがない思いに火をつけるようなメッセージが届いた。もう、これは、プレイするしかない。

結構な値段がするはず。

このPC-98版をプレイしようかとも考えたが、購入してからあまりにも時が経っている。1985年の発売だから、なんと38年も・・・。就職した頃ではないか。

それで、考えた。どうせプレイするなら、最高のWizardryをプレイしたい。英語は今一つなので日本語でプレイできて、尚且つ、オリジナルに近い物。そして、プレイしやすいものをと考えた。とりあえず、Sir-Techオリジナルシリーズをプレイしようとすると、どのようなプラットフォームがあるかを調べてみた。

以下、Wikiのウィザードリィのシリーズ一覧より
Wizardry #1 – Proving Grounds of the Mad Overlord(狂王の試練場)
Wizardry #2 – Knight of Diamonds(ダイヤモンドの騎士)
1982年 Apple II、C64
1985年 IBM PC
1986年 日本語PC
1989年 MSX2
1990年 FC(『ウィザードリィIII』)
1993年 PCE(『1&2』収録)発売:ナグザット 開発:アクセス
1998年 PS/SS/Windows(以上3点『リルガミンサーガ』収録)
1999年 SFC(NP・『ストーリーオブリルガミン』収録)
2001年 GBC(『ウィザードリィIII』)
2004年 NTTドコモ iアプリ/FOMA900i以降(『Wizardry ORIGINAL #2』)
Wizardry #3 – Legacy of Llylgamyn(リルガミンの遺産)
1983年 Apple II
1984年 C64
1986年 IBM PC
1987年 日本語PC
1989年 FC(『ウィザードリィII』)
1990年 MSX2
1994年 PCE(『3&4』収録)発売:ナグザット 開発:アクセス
1998年 PS/SS/Windows(以上3点『リルガミンサーガ』収録)
1999年 SFC(NP・『ストーリーオブリルガミン』収録)
2001年 GBC(『ウィザードリィII』)
2004年12月20日 NTTドコモ iアプリ/FOMA900i以降(『Wizardry ORIGINAL3 -Legacy of Llylgamyn-』)
Wizardry #4 – The Return of Werdna(ワードナの逆襲)
Apple II
PCエンジン用ソフト『ウィザードリィIII&IV』
1999年 PS(『ニューエイジオブリルガミン』収録)
Wizardry #5 – Heart of the Maelstrom(災渦の中心 / 災禍の中心)
1988年 Apple II、C64
1990年 PC-8801/PC-9801[8]、FM TOWNS
1992年 PCE 発売:ナグザット 開発:アクセス、SFC 発売:アスキー,1999年 PS(『ニューエイジオブリルガミン』収録)
2002年 Windows(『ニューエイジオブリルガミン』収録)
Wizardry 6 – Bane of the Cosmic Forge(禁断の魔筆)
1990年 IBM PC、Amiga
1991年 PC-9801、FM TOWNS
1995年 SFC
1996年 SS(『6&7』収録)
2007年 Windows(『月刊アスキー別冊 蘇るPC-9801伝説 永久保存版 第2弾』収録)
2013年5月23日 Windows(GOG.comによる英語版ダウンロード配信(DOS版ベース)、CDSとのカップリング)
2013年9月11日 Windows/Macintosh/Linux(Steamによる英語版ダウンロード配信、CDSとのカップリング)
Wizardry 7 – Crusaders of the Dark Savant(ガーディアの宝珠)
1993年 IBM PC
1994年 PC-9801、FM TOWNS
1995年 PS
1996年 SS(『6&7』収録)、Windows(『Wizardry Gold』)
2008年4月22日 Windows (PC-9801版の移植でプロジェクトEGGでの日本語版ダウンロード配信[21])
2013年5月23日 Windows(GOG.comによる英語版ダウンロード配信、BCFとのカップリング、GOLDとDOS版を同梱)
2013年9月11日 Windows/Macintosh/Linux(Steamによる英語版ダウンロード配信、BCFとのカップリング)
Wizardry 8
2001年 Windows(英語、日本語)
2013年5月23日 Windows(GOG.comによる英語版ダウンロード配信)
2013年9月11日 Windows/Macintosh(Steamによる英語版ダウンロード配信)
Nemesis – the Wizardry Adventure
日本語版は1998年にWindows版(エレクトロニック・アーツ)
セガサターン版(ショウエイシステム)

うーん、一番簡単に全部揃えるなら、「ウィザードリィ・コレクション」を購入すればいいのだろうが、98版をエミュレータで動かす必要があるし、値段が・・・。

それで、いろいろ総合的に考えた末に出た結論が、上の表の赤字の部分の組み合わせである。プレステとセガサターンの組み合わせは、決して安価ではないが集めやすく、比較的オリジナルに忠実なWizardryがプレイできるのではないだろうか。最後まで、悩みに悩んだもう一つの組み合わせが、緑字の部分の組み合わせである。ファミコン版の上位移植のスーファミ版は、プレイしやすさという点ではピカ一かもしれない。ただ、タイトルの順番が変わっていたり、Ⅳが抜けていたりするので、次点としたが、PS版とSS版の組み合わせにSFC版を入れてもいいかもしれない。

Wizardry 8は、現実的にはSteamによる英語版となるだろう。

結論1

Ⅰ~Ⅲ PS版『リルガミンサーガ』
Ⅳ~Ⅴ PS版『ニューエイジオブリルガミン』
Ⅵ~Ⅶ SS版『6&7』
Ⅷ   Steamによる英語版

結論2

Ⅰ~Ⅲ SFC(NP・『ストーリーオブリルガミン』
Ⅳ   PS版『ニューエイジオブリルガミン』
Ⅴ~Ⅵ SFC
Ⅶ   PS
Ⅷ   Steamによる英語版

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Retro Games Fire

たけしの挑戦状

ハード   ファミリーコンピューター
発売元   タイトー
ジャンル  ADV(アドベンチャー)
発売年   1986年(昭和61年)12月10日

1986年の発売だから、就職して3年~4年頃か。ドラゴンクエスト(通称ドラゴンクエストⅠ)が発売された年である。かなり話題になっていたから購入したかもしれないが、絶対にクリアはしていないと思う。また、買っていたとしてもすぐに売っただろう。とてもクリアなんてできなかっただろう。80万本売れたというから、有名どころの「スターソルジャー」が100万本らしいので、当時としてはかなり売れたということなのだろう。

ゲームを始めると、とにかくよく死ぬ。クリアするまで葬式場面を何度見せられたことか・・・。そこで、絶対に覚えておかなければならないことが二つある。

1.死んでから葬儀の絵が出るまでに、AボタンとBボタンを同時に三回押すことでハート4個から復活できる。慌てなければほぼ復活できる。Aボタンを押しっぱなしにして、Bボタンを三回押してもよい。

2.敵が増えてきたら、SELECTボタンを押そう。サブ画面を表示してゲームに戻ると、敵が消えている。後半で銃を手に入れるまでは、逃げて戦わないほうが無難だと思う。

上の二つを活用しても、よく死んでくれるのでセーブはしておかなければならない。(えっ?パスワードセーブだって?)中古で購入したこのゲームの説明書にもパスワードが書かれていた。試しに入れてみてもおもしろいかも。

自分がクリアを目指して、最大の難関だったのがハングライダーでのスクロールアクションだ。前後しか動かせず、しかも、下降するしかできないという。上昇するには上昇気流(波のようなもの)にぶつからないといけない。最初は知らずに,撃ちまくっていた。下の画像が4番目の島である「チョバリン島」である。この島の左の平野部分に着陸するのだが、地面に触れてしまうと死んでしまう。うまく着地ができると、

なんか突然下のような画像が表示され、無事に島に到着したことがわかる。

この場面のクリア条件として、3番目の島か4番目の島に着陸するとよいらしい。上級者は3番目の島に上陸して、ワープトンネルを通って4番目の島に行くそうだ。

シューティングがけっこういやらしいので、早めに飛行を終わらせることがいいそうだが、あまりにシューティングに集中していると、4つめの島も通り越してしまう。一瞬ここがゴールなのかと勘違いをしてしまうが、やはりたけしのゲーム。ここは、フェイクなのだ。

やっと、島に上陸し、いくつかイベントをこなし(このへんは、ネットの情報を参考に)、山の上の入り口から地下トンネルに入るところで、先に進めなくなった。山の頂上にジャンプがうまくできないのである。十字キーの下を押しながらBボタンで高いジャンプができるのだが、とにかく頂上に上がれない。何度も何度も失敗しながらやっと頂上に上がれた。

この写真の場所あたりでしゃがむと、地下洞窟にいけた。あとは、道なりにと言いたいが、どこで次の地下洞窟に行けるかがわからない。途中でハートが回復する場所などもあるが、ゴールの手前なので、あまりありがたみはない。

どうにか宝をゲットして、たけしから「えらいっ」と言われて終了・・・。かと思いきや5分ほど待つと、再びたけしからメッセージが。これが、真のエンディングらしい。たけしが最後の最後に何と言ったかは、実際にゲームをクリアして確かめてみてほしい。

5分ほど経つと・・・。

おまけ

森田健作さんにも会えましたよ!元知事じゃなくて、「男はつらいよ」の小林弘二の森田健作だ。「吉川くーん」。知らないだろうな。放送当時は小学生だったな。

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ぶんがく

冒険の書 AI時代のアンラーニング

孫 泰蔵 著
出版社 ‏ : ‎ 日経BP (2023/2/16)
発売日 ‏ : ‎ 2023/2/16
単行本 ‏ : ‎ 368ページ
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4296000777
寸法 ‏ : ‎ 21 x 14.8 x 2.2 cm

読了 6~7時間

著者はガンホー(パズドラの会社)の創業者で、あのソフトバンクグループのCEO兼社長の孫正義さんの弟。一応、教育現場に40年近く携わってきた身としては、「私たちはなぜ勉強しなきゃいけないの?」「好きなことだけしてちゃダメですか?」こんなキャッチコピーがあれば、どうしても読んでみたくなる。

結論から言うと、これらの問いに、明確な答えは出していないと思う。あくまで「冒険の書」であり、これから冒険に出発する者のための準備の書と言える。学制発布以来大きな改革のない学校制度は、それこそ様々なところで疲弊し問題も山積している言える。思い切って変えることが必要かもしれない。では、どう変えていくのか。おぼろげながらのイメージはあるが、具体的な姿は見えない。それこそが、作者の意図した部分ではないだろうか。

ただ、東大卒の滅茶苦茶がんばってきた苦労人のエリート社長さんに「学校で勉強なんてしなくてもいいよ、好きなことをやったらいいんだよ」と言われても、ちょっとそれをそのまま鵜呑みにはできない気がする。

この本の一押しは、巻末に付いているブックリストではないだろうか。これこそが、この本の真骨頂であると思う。これから「どう生きるか」という人生の冒険に出発する者にとっての、正しく冒険の書たちである。ブックリストの中には、読んだことのある本も数冊あるが、はずかしながら存在すら知らなかった本もあった。簡単な解説が添えられているので、気になる本をぜひ読んでみたいと思う。

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ぶんがく

三千円の使いかた

原田ひ香 著
初版刊行日2021/8/20
判型文庫判
ページ数352ページ
定価770円(10%税込)
ISBNコードISBN978-4-12-207100-1

読了 3時間~4時間

 すっと読めて、何か得したような気持ちになる本である。6章構成で、1章が30分ほどで読めるので気軽に読み始めることができる。

 お金にまつわるちょっと難しい話を、家族の様々な人の立場からやさしくエピソードトークのように語ってくれるので、飽きずに読み進めることができた。

 御厨(みくりや)家の中で、一番かっこいいのは、おばあちゃんの琴子だ。73歳にして再就職をし、若い男の友達もいる。お金に関しても、お金の使い方に関してもしっかりとした自分の考えを持っている。ただ、若い友達の小森安生に対する説教はあまりピンとこなかったし、イメージしていた琴子おばあちゃんが果たしてそんなこと言うだろうかと感じた。

 今年の一月に、フジテレビ系列でドラマ化されて放送されたらしい。気になってキャストを見てみると、琴子おばあちゃんは中尾ミエ・・・・。なんか違う。で、アンミカ?誰の役?黒船スーコ?ああ、ファイナンシャルプランナーだったかな。街絵さんはいい感じ。

ドラマ 三千円の使い方

ドラマもぜひ、見てみようと思う。

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ぶんがく

ボタニカ

ボタニカ
朝井まかて 著
出版社 ‏ : ‎ 祥伝社 (2022/1/12)
発売日 ‏ : ‎ 2022/1/12
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 494ページ
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4396636173
寸法 ‏ : ‎ 19.4 x 13.1 x 3.1 cm

読了時間 7~8時間

 うーん、最後まで読んだけれど、最後まで富太郎さんには共感できなかった。著者のまかてさんは、膨大な資料や論文を見られてある程度史実に沿って書かれていると思う。リアル牧野に近いのかもしれないが、やはり、何というか、自分が凡人過ぎるのか、感動も共感もあまりなかった。

 読み始めた時に、NHKの朝ドラが始まっていたので、ボタニカの主人公は当然、神木隆之介だった。初めのほうは、彼にイメージを重ねながら読んでいたが、だんだん、神木隆之介では、どうにもならなくなってきた。饒舌で行動力があり、恐ろしいほどの自尊心を持ち、人を巧みに利用しながら自分のやりたいことを実現していく。確かにある意味すごい人物だが、共感や尊敬の念は持てなかった。彼の業績はすごいだろうが、自分自身が草花の分類や生育にあまり興味を持っていないこともあるかもしれない。作者のまかてさんが、どのような牧野像を描きたかったのか聞きたいものである。

 彼の自叙伝では、最初の妻である猶(なお)のことは、触れられてない。地元の高知でも、スエコザザにまつわる、最愛の妻「寿衛子」のことは有名であるが、猶のことは、ボタニカで初めて知った人も多かったのではないか。(後述する、『草を褥に 小説牧野富太郎』大原富枝 著を読んでいなければ)

 借金生活での人生最大の危機を救ってくれたのは、資産家の池長孟(いけながはじめ)であり、標本30万点を3万円で買い取り、本人に寄贈するという。大正15年頃の3万円と言えば、MUFJ お金の育て方によると、4000倍ほどなので、現在では1億2千万円になる。こんな奇特な方とも、仲違いをしたりする。

 彼自身の自叙伝は読む気にはならないが、地元の作家でもある大原富枝さんの『草を褥に 小説牧野富太郎』は読んでみたいと思っている。

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ぶんがく

ユーチューバー

ユーチューバー
村上 龍ムラカミ リュウ(著/文)
発行:幻冬舎
四六判
定価 1,600円+税
ISBN978-4-344-04102-8
書店発売日2023年3月29日

読了時間 2~3時間

 タイトルに惹かれて思わず手に取ってみた。村上龍と言えば、自分にとっては、『限りなく透明に近いブルー』ではなく、「13歳のハローワーク」なのである。仕事柄、どれだけお世話になったか。さて、本題に。

 なんか、不思議な小説である。4つの短編から成っているが、それぞれ話者が違う。

第1章は「世界一もてない男」と自称する、矢崎に憧れているユーチューバー

第2章も「世界一もてない男」と自称する、矢崎に憧れているユーチューバー

第3章は、三十代か四十代か五十代の恋人の女性

第4章は、村上龍氏の分身であると思われる、有名作家である矢崎健介

 これは、この長編小説?が、いろいろな雑誌で掲載された短編の集合体だからである。

 1章での、有名作家の女性遍歴を淡々と語る部分はおもしろかった。そんな女、いるかもしれないな、と思いつつ楽しめた。特に印象に残っているのは、妻を寝取られた夫が、妻の愛人を部屋に招き入れる部分。自分は、そんな経験はないが、実際、ああいう場面に出くわしたら、きっと、その夫と同じような態度で同じ行動をするのではないかと思った。みょうにリアルなのだ。この部分は少なくとも体験に基づいているような気がする。

 全編を通しての、豊富な知識の吐露の部分やうんちく的なものには、食傷気味になってしまったが、それは、有名作家と過ごしだ時代が少し違うからではないかと思う。ドンピシャの人ならきっとうなずきながら読めるかもしれない。

 ライオンの子殺しの話は実話らしいが、それで、雌ライオンが発情するのかはわからないが、子育て中は、排卵が抑制されるので当然妊娠はしない。子どもが亡くなってホルモンバランスが正常に戻ると、また妊娠する準備ができる。まあ、村上流に言えば、「発情する」になるのかも。最近の研究では、雄ライオンに子殺しをさせないために、複数の雄ライオンと交尾をし、父親が誰だか分からなくする場合もあることがわかっている。実際、子どもライオンは一匹も殺されなかったそうだ。

 この小説を読んだ後、それこそユーチューブでイタリア映画の「にがい米」の検索件数が上がりそうな気がする。「コインロッカーベイビーズ」をもう一度読み返してみようかと思っている。

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ウォークマン・デラックス WM-3 買ってしもうた!

1981年5月1日発売で、TPS-L2のマイナーチェンジ版である。初代ウォークマンが欲しかったのだが、あまりにも高額であり、ジャンクに発売時の定価以上のお金を出すのはどうしてもためらわれた。

3代目ウォークマンであるが、色以外はほとんど初代と同じである。違いは、メタルテープ対応になっているくらいである。通称「ウォークマン・デラックス」(マツコ・デラックスみたい)。

写真撮影のために、アルコールで汚れを落とす。汚れが取れると比例するように、どんどん綺麗になっていった。なんか、初代の青よりもこっちの黒のほうがかっこよく思えてくるから不思議だ。

ジャンク品として買ったので、当然、動かない。しかも、蔵から出してきたようなほこりをかむったままだった。心配だったのは、電池ボックス。幸い、液漏れはしていないようで、修復されたような跡もない。さっそく、アルカリ電池を入れてみる。再生ボタンを押してみる。当然動かないし、うんともすんとも言わない。ジャンク品だから当たり前だ。

幸い、オペレーションランプは点いているので、回路自体は生きているかもしれない。モーターの回る音すらも聞こえないので、動くようになるかわわからないが、飾り物になるのも癪なので、後日分解して修理してみようと思う。

HOT LINEにヘッドフォンジャック2個も同じだ
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おとな

初代ウォークマン(TPS-L2)の3つの思い出

最近カセットテープの再生のために試行錯誤したせいで、カセットテープ熱が上がっている。そんなこんなで、最近気になっているのが、初代ウォークマンだ。この機器については色々な思い出がある。

一つ目は、手に入れた経緯である。発売されたのは、1979年の7月である。そして、当時高校生だった自分は、結構すぐに手に入れた。3万3千円という、高校生にとっては高額なアイテムだが、当時としてはめずらしい「英語科」に通っていた自分は、「リスニング学習に」とか言って、親に買ってもらったのではないだろうか。親も、英語の教員だったこともあり、変に物分かりが良かったのだろう。しかし、当時の高校生がウォークマンを英語の学習に使うわけがないなどとは思わなかったのだろうか?まあ、親の思惑は置いておいて、しっかりと期待?を裏切り音楽専用マシンとなったのであった。

二つ目は、衝撃的だった音質である。そんなこんなで手に入れた、ウォークマンだが、今までヘッドフォンで音楽を聴くという、今でこそ普通の行為なのだが、当時としてはあまり一般的ではない(持ち運べる音楽プレーヤーがなかった時代だから)体験だったのだが、レコードから録音したクイーンのボヘミアンラブソディを聴いた時には、ぶったまげてしまった。びっくりするほど音がいいのである。この時の衝撃は今でもはっきりと覚えている。一見チープなヘッドフォンから出てくるクリアで迫力のある音にびっくりしたものである。

三つ目の思い出は、ちょっと苦い思い出である。こんないいい音楽なら、学校の退屈な授業で聞けばハッピーになれるじゃないかということで、それを実践してしまったことである。昔から早弁とかあったけど、これは、なんと言ったらいいか。その当時、公民かなんかの授業に実習生の大学生が来ていた。生意気な高校生のこと、その直向きな先生の卵を舐め切っていたのだろう。授業は、まあ一生懸命だったのだろうが、興味を引きつけるようなものではなかった。(もちろん言い訳位にはならないが)
そして、運もいいことに、席も一番後ろだったので、授業が始まるとすぐに、ウォークマンを取り出して音楽を聞き始めた。当然密閉型のヘッドフォンではないので、近くには音楽が聞こえていたのだろう、近くの友人達もにニヤニヤしてしていた。実習の先生も何やらこちらを見ているが、授業中であることもあり、特に注意をされることもなかった。しかし、授業が終わってから自分のところに来て、「音楽を聞いていましたね」と言って、「預かります」と、買ったばかりのウォークマンが没収されてしまった。

職員室に呼び出され、指導教官からたっぷりと絞られてから返してもらったが、それ以後は授業中に出して聴くことはなかった。数年後に音楽好きの友人に1万円で売ってしまったことを未だに後悔している。

もう一度触ってみたいとフリマを探してみると、高いのだ。ジャンク品でも3万〜4万、完動品だと5万円以上である。とても、購入することはできない。でも、欲しい。

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土偶を読む

土偶を読む
――130年間解かれなかった縄文神話の謎
竹倉史人 著
四六判上製 352頁
定価:1,870円(本体1,700円)
978-4-7949-7261-3 C0021 〔2021年4月〕

読了時間 7~8時間

 この本を手に取ったのは、「土偶を読むを読む」が発売されて、話題になっていたので、どんな本なのか見ていたら、「土偶を読む」という本の検証と批判を行った本であるというのだ。これは、おもしろい。しかし、図書館に週に4日も通い詰めているのに、今まで「土偶を読む」という本が発売されていたことすら知らなかった。なんとも情けない。「土偶を読むを読む」を読むためには、まず「土偶を読む」を読まないといけない。で、「土偶を読むを読む」を読むために、「土偶を読む」を読んでみた。

 書き出しから実に小気味よい。「ついに土偶の正体を解明しました。」いきなり読者の興味を引き付ける。130年以上にわたる土偶研究をしてきて、未だに謎だらけの土偶の正体を明らかにしたというのだ。土偶はその形から、妊婦をかたどったものであるとか、遮光器土偶のように、もしかして宇宙人?というものまである。何をモチーフにして何のために作ったのか解明できていない。それを解明したというのだ。

東京国立博物館デジタルギャラリーより

 筆者は、「はじめに」で、序章を飛ばして読んでもいいと言っているが、ぜひ、序章から読み進めたほうがよい。また、「おわりに」は、必ず読んでほしい。

 内容については触れないが、読み進めていて、ほとんどの土偶について納得のいく答えを出しているように思う。ちょっとこじ付けかなと思う部分もあるが、「土偶がは何であるか」という重要な答えは出していると思う。完全とは思わないが納得のいくものであると思う。「思う」の連発は、「土偶を読むを読む」を読んでいないからであり、ますます、「土偶を読むを読む」を読むのが楽しみになってきた。

 一気に読み進めたのは、筆者のアカデミックであるがおちゃめな表現のおかげである。いつも真っ先に様々なものを食べさせられている助手の池上の事や、亜鉛で精力が目に見えて向上したくだりなど、読者をにやっとさせてくれる。

 一つだけ読んでいて苦労したのは「脚注」である。参考文献だけでなく、けっこう様々な情報が脚注として付けられている。ぜひ、読んでもらいたい。しかし、私のような老眼が入った目では正直きつい。小さすぎるのだ。

内容がおもしろいだけに
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エゴイスト (文庫本)

エゴイスト
高山 真 著
定価594円(税込)
発売日2022.08.05
判型/頁文庫判/192頁
ISBN9784094071757

読了 2~3時間

2023年春に映画化された。出演は鈴木亮平、宮沢氷魚。文庫版のあとがきは、鈴木亮平が書いている。

鈴木亮平がゲイの映画に出るという事で話題になった。映画も観たいと思ったが、やはり原作を読んでみたいという事で。そして、文庫版には、鈴木亮平が寄稿しているということで、迷わず文庫本を選択した。

「エゴイスト」という言葉を広辞苑で調べてみると、「利己主義者」とあり、Wikipediaでは、「利己主義者のこと。他人のこうむる不利益を省みず、自らの利益だけを求めて行動する人のこと。フランスの社会学者トクヴィルによると、個人主義者とは厳密に区別される。」とある。物語と、「エゴイスト」というタイトルがどうからんでくるだろうか。

長年教育関連でご飯を食べさせてもらった身としては、冒頭からの「いじめ」の描写は読んでいて苦しくなって来た。作者の実話であることも知っていたから尚更である。

閑話休題

自殺することを決めた彼を生き抜かせた衝動は何だったのだろう。母の死をきっかけに、今までの自分を否定することで新たに生まれ変わったということなのだろうか。何となくわかるが、それが何なのかは、文章を読んでもはっきりとはわからない。それがわかれば、多くの人の生き抜くヒントになるような気がする。

男性の恋愛については、全く読んでいて違和感がなかった。むしろ、自然すぎるくらいの表現であり、この物語の主題が別のところにあるからだろう。

主人公の恋人が亡くなったあと、残された彼の母親を見守り援助し介護していくことは、主人公のエゴと言えるのだろうか。14歳で止まってしまった、主人公の母との物語を続け完結させることが、自分でも気づかない本当の目的だったとしても・・・。

全体を通して少し悲しく、辛い物語であるが、読み終わった後の気持ちよさのある物語であった。

鈴木亮平のあとがきは、あまりにも期待しすぎていたのかもしれないが、少し思っていたのと違っていた。彼なら、もっと、作者が憑依したような文章を書いていると思っていたからだ。一人称じゃなかったからかな。

主人公(作者?)の心の支えになった本がに2冊あった。一つは三島由紀夫の「沈める滝」であり、もう一つはボールドウィンの「ジョヴァンニの部屋」である。沈める滝ははるか昔に読んだ記憶があるが、ほとんど内容は忘れてしまっている。ボールドウィンの作品は読んだことがない。この機会に二つとも読んでみよう思っている。