発売日: 2013年01月
著者/編集: 白鳥あかね
出版社: 国書刊行会
ページ数: 313p
ISBN: 978-4-336-05682-5
読了 8~10時間
国書刊行会の50周年記念小冊子「私が選ぶ国書刊行会の3冊」という本の中で紹介されていて、目に留まった。誰が紹介していたかは忘れたが、本との出会いとはこんなものかも。
スクリプターという仕事は知らなかった。本書よりスクリプターについて説明している部分から引用してみる。
「1993年、トーキー(同時録音)が現場に導入され、撮影済みのフィルムと録音された音とを合わせなければならなくなり、編集作業が大変複雑になって来ました。そのため撮影現場では、ワンカット毎に克明なメモをとるようになったのです。このメモはスクリプトと呼ばれ、メモを記す人、つまり記録をとる人をスクリプターと呼ぶようになりました。」
「スクリプトには、カットナンバーをはじめ、俳優の動きやセリフ、撮影日、撮影場所,同録かサイレントか、カメラサイズ、カメラワーク、音の処理、撮影タイム、OK・NGの選別等、そのワンカットに関するあらゆる情報が記入されます。
とりわけ重要なのは、監督の演出意図をどの様な表現方法を用いて書き表すかと云うことです。」
(本文P12~13より引用)
本文は、聞き手である高崎俊夫さんが白鳥さんにインタビューする形式で進んでいく。聞き手が上手で、しかも知識が豊富であるので、白鳥さんの話がはずむことはずむこと・・・。
日本の激動の映画史のリアルを覗けるので、(小津 安二郎以降)昭和生まれは必読かもしれない。スクリプターというのは、常に監督の傍にいるということで、歴代の監督についてのエピソードトークがすごい。(すばらしい)
例えば神代 辰巳(くましろ たつみ)監督については、「恋人たちは濡れた」の撮影シーンで、海の中に消えていくシーンでなかなかカットをかけずに、中川梨絵が溺死しそうになったり、「濡れた欲情 特出し21人」で、本物の上山田温泉のロック座の人を使って撮影をしたりと、ロマンポルノの帝王たるエピソードが語られている。
刺激的なタイトルは、この映画の撮影の時に起こったことに由来している。著者がちょっとはめを外しすぎた?
読了後、何本か観たい映画があった。「人魚伝説」は、どこかのサブスクで観られるのだろうか。