孫 泰蔵 著
出版社 : 日経BP (2023/2/16)
発売日 : 2023/2/16
単行本 : 368ページ
ISBN-13 : 978-4296000777
寸法 : 21 x 14.8 x 2.2 cm
読了 6~7時間
著者はガンホー(パズドラの会社)の創業者で、あのソフトバンクグループのCEO兼社長の孫正義さんの弟。一応、教育現場に40年近く携わってきた身としては、「私たちはなぜ勉強しなきゃいけないの?」「好きなことだけしてちゃダメですか?」こんなキャッチコピーがあれば、どうしても読んでみたくなる。
結論から言うと、これらの問いに、明確な答えは出していないと思う。あくまで「冒険の書」であり、これから冒険に出発する者のための準備の書と言える。学制発布以来大きな改革のない学校制度は、それこそ様々なところで疲弊し問題も山積している言える。思い切って変えることが必要かもしれない。では、どう変えていくのか。おぼろげながらのイメージはあるが、具体的な姿は見えない。それこそが、作者の意図した部分ではないだろうか。
ただ、東大卒の滅茶苦茶がんばってきた苦労人のエリート社長さんに「学校で勉強なんてしなくてもいいよ、好きなことをやったらいいんだよ」と言われても、ちょっとそれをそのまま鵜呑みにはできない気がする。
この本の一押しは、巻末に付いているブックリストではないだろうか。これこそが、この本の真骨頂であると思う。これから「どう生きるか」という人生の冒険に出発する者にとっての、正しく冒険の書たちである。ブックリストの中には、読んだことのある本も数冊あるが、はずかしながら存在すら知らなかった本もあった。簡単な解説が添えられているので、気になる本をぜひ読んでみたいと思う。